パーキンソン病センター

リハビリテーション

理学療法(Physical Therapist)

~運動療法について~

 運動療法は理学療法における主な診療の一つで、パーキンソン病の患者さんだけでなく理学療法を必要とする方すべてに行われています。
パーキンソン病の患者さんの分かりやすい身体の症状として、
  • 手足が震える「振戦」
  • 筋肉がこわばる「筋強剛」
  • 動きが遅くなる「無動」
  • バランスが取りづらくなる「姿勢反射障害」
  • などがあります。

     我々が運動療法を行う上で最も大切にしていることは、こうした症状を原因として生じる 身体の変化や障害に対して診療を行い、現状の生活で困っていることを軽減することにあります。
     例えば、筋強剛や無動といった症状が長く続くと身体の各関節が固くなり、日常生活での動きが小さくなります。それに伴って関節の動く範囲は狭くなり、身体の自由が奪われます。こうしたことは日常生活での転倒の危険性を増大させるだけでなく、運動不足による筋力や体力の低下を招きます。この悪循環を断つために運動療法を是非、役立てて頂きたいと思います。

     運動療法の内容は関節の動きを大きくすることや、筋力を向上させることなど基礎的な練習からバランスや歩行といった応用的な練習を行います。加えて体力向上を目指した有酸素運動や、日常生活で困っている動作を実践的に練習することなど様々な内容を各患者さんの状況に応じて行っています。
     また、パーキンソン病の患者さんに対する運動療法は、お薬の治療はもちろんですが、食事(栄養・水分補給)や睡眠、排尿・排便など日常の生活リズムが良好に保たれることで効果が増大します。我々はこうした生活リズムを是正するために運動療法がいかに役立てるかなどパーキンソン病の患者さん特有のお悩みについて向き合い、特化した診療を提供できるよう努めています。

    ~生活指導について~

    生活指導というと「自宅内でどのように動作を行うか」というのが一般的ですが、当院では運動の他に食事や睡眠などの生活サイクルに着目した指導も行っています。言い換えると“体調管理指導”とも言えます。
     パーキンソン病で入院される方は、生活上の動作が困難になって来られる方が大半です。その理由として病気の進行によって薬の量が足りなくなり、動きが悪くなることが考えられます。その場合薬を増やすことが必要となりますが、日常の体調管理でも薬の効果を高めることが出来ます。たとえばパーキンソン病の80%以上の方が便秘であるといわれています。この便秘が強くなると消化器の機能が低下し、薬を吸収しづらくなってしまい薬の効果は半減してしまいます。
    これに対し便秘薬の使用だけでなく、運動指導や食事・水分摂取指導などを行って症状の改善を図ります。このような形で様々な方法によって体調管理で薬の効果を最大限にして活動性を維持することを目的とした指導を行います。