てんかん手術支援ロボット
国立病院機構西新潟中央病院は、難治性てんかんの診断・外科治療における新しい手法:定位的深部脳波検査(SEEG)を素早く・正確に行える「てんかん手術支援ロボット」を2023年12月に導入しました。
国内のてんかん外科では、全身麻酔下で開頭して頭蓋内に電極を留置していた従来方法に、SEEG方式が加わりました。SEEGは、頭皮から頭蓋内に小さい穴を開けるだけで脳深部へ電極を挿入する方法です。このため、患者さんへの負担が大幅に軽減できます。
手術が必要なてんかん患者さんは、新潟県内だけでも約6,000人、隣県を含めると約32,000人にのぼるとされています。ロボット導入によって、てんかんの焦点が特定され手術で切除されることで、これらの患者さんがてんかん発作の無い生活を手にできる可能性があります。
てんかんは、約100人に1人の割合で発症する大脳の慢性疾患です。適切な治療を受ければ、7、8割の患者さんは薬剤で発作をコントロールできます。しかし、残りの2、3割は薬剤の効かない難治性で外科的療法が検討されます。
検査は、まず非侵襲的な脳波やMRI などで実施します。それでも診断が難しい場合は、開頭して電極留置を行っていましたが、この方法は患者さんへの侵襲が大きく、術後の回復にも時間がかかっていました。SEEGは開頭を要しないため、術後の回復がより早いという利点があり、またロボットなしでは、平均手術時間がロボットを使用した場合に比べて2~3倍かかり、留置部位にも制限がありました。
手術支援ロボットの導入により、患者さんの身体的な負担が減ります。また、今までてんかん焦点の同定が難しかった例でも、SEEGを積極的に行うことによって、その後の焦点切除、術後の発作消失へとつなげることができれば、多くの難治性てんかん患者さんの福音となります。
欧州では、ロボットを活用した低侵襲脳波検査であるSEEGが主流となっています。