呼吸リハビリテーション
包括的呼吸リハビリテーションのご案内
- 肺気腫・慢性気管支炎・気管支拡張症・肺結核後遺症などで苦しんではいませんか?
- せき・たん・呼吸困難などの症状で日常生活が制限されていませんか?
- ご自身の病気のことがよく理解できなくて不安に思っていませんか?
- 治療法がよくわからないということがありませんか?
- 食欲がわかず,どんどんやせていくことはありませんか?
- 呼吸器の病気があるために,家に閉じこもってはいませんか?
このような方は、「包括的呼吸リハビリテーション入院」をご検討ください。
包括的呼吸リハビリテーションとは
慢性の呼吸器疾患にはさまざまな疾患がありますが,完全に治すことのできない疾患も少なくありません。健康なときの呼吸機能まで改善させることが難しいこともしばしばあります。そこで,病気をよりよくコントロールし,残された呼吸機能をできるだけ高め,患者さんの持っている能力を最大限に発揮してもらい,社会的にも心理的にも充実した生活を送っていただくことが大切なことであると思います。
リハビリテーションとは,「ふたたび能力を獲得する」という意味ですが,包括的という言葉が意味することは,呼吸器の理学療法のみがリハビリテーションではなく,患者さん自身に病気をよく理解していただくことや,適切な治療を継続していただくこと,栄養療法を続けることなどのほか,社会福祉資源を活用していただくことまで様々な面からのアプローチを行うことを意味します。当院では,医師,看護婦,理学療法士,栄養士,薬剤師,医療ソーシャルワーカー等が,それぞれの専門性を生かし,チームワークを組んでプログラムにそって包括的呼吸リハビリテーションをバックアップします。
包括的呼吸リハビリテーションの目的は?
- 呼吸器症状の軽減をはかり,合併症を予防
- 日常生活動作(着替え,食事,入浴など)能力の向上
- 運動能力の向上
- 不安や抑鬱などの精神状態の緩和
- 社会生活の自立
- 急性増悪の減少
- 予後の改善
上記の目標を達成することによって,患者さんのQOL(Quality of life=生活の質)を向上させることが目的です。
対照になる患者さんは
- 慢性肺気腫症,慢性気管支炎,気管支拡張症,肺結核後遺症などの患者さんで,呼吸機能が障害されている方
- 慢性呼吸不全の状態にあって,在宅酸素療法を必要としている方,また,呼吸不全にまでは至らないが,呼吸器症状があり,日常生活に不便を感じていらっしゃる方
- 上記の患者さんで,現在は病状が安定していらっしゃること.重篤な合併症がないこと.いろいろな学習を行うので,意思の疎通が可能なこと
- リハビリテーションを行うことによって,目的を達成しようとする意欲があること
- 約1カ月間の入院が可能な方
入院期間は
- 当院では,入院していただいて包括的リハビリテーションを行っています.実際のメニューが多いため,外来では,すべてをこなすことができないためです。
- 入院期間は,患者さんによって異なりますが,おおよそ3週間から5週間程度です.当然ながら患者さんのご都合を考慮します。
- 病気が安定していることが前提ですので,休日は外泊していただき,家庭での生活でリハビリテーションをやっていただいたりしています。
- 保健診療です。
包括的呼吸リハビリテーションのメニュー
入院期間は患者さんによって長短はありますが,約4週間を予定しています.この間に以下のようなメニューを用意しています。
初期アセスメント
医学的に病気の状態を再評価し,適切な治療法を選択します。
血液・生化学的検査,動脈血液ガス分析,胸部レントゲン,胸部CT,呼吸機能検査,心電図,心エコー,運動負荷動脈血酸素飽和度検査,24時間動脈血酸素飽和度検査など. その他,日常生活動作の評価や,心理的評価を行います。
呼吸器の基礎知識・病状の理解
患者さんにも,呼吸器の構造とはたらき,ご自身の病気の状態について学んでいただきます。(医師・看護婦により行われます)
薬剤指導
薬の作用や,使用法を学んでいただきます.吸入療法をしていらっしゃる方には吸入指導を行います。(薬剤師により行われます)
栄養評価と栄養指導
あなたの栄養状態を評価し,適切な食事の指導を行います。食欲のない方には,栄養補助食品なども使用し,継続して食べられる食事をご用意し,自宅でも続けていただけるよう指導します。(栄養士により行われます)
呼吸理学療法
呼吸法(口すぼめ呼吸や腹式呼吸など)指導,リラクセーション,呼吸筋トレーニング,呼吸筋ストレッチ体操,排痰法(体位ドレナージやフラッターなど),日常生活動作の指導などを,患者さんに合わせて選択し指導します。(理学療法士・看護婦により行われます)
社会福祉制度のご紹介
慢性呼吸不全患者さんが,利用することのできる社会福祉資源(呼吸機能障害者認定や在宅看護支援など)についてご紹介し,必要な手続きをとります。また,家庭的・社会的・経済的な問題などのご相談をお受けいたします(医療ソーシャルワーカーによりおこなわれます)
在宅酸素療法・在宅人工呼吸器療法への導入
在宅酸素療法や在宅人工呼吸器療法が必要な方には,その導入を行います。(医師・看護婦・在宅酸素業者)
ビデオ学習
上記の指導の復習的な役割を担います。毎週水曜日に行うほか,ご希望に合わせて学習していただきます.(看護婦により行われます)
後期アセスメント
このプログラムを行ったことによる効果や,理解度の評価を行い,不十分な点には,補足を行います。(医師および看護婦により行われます)
包括的呼吸リハビリテーション入院をご希望の方へ
- 当院に通院中の患者さんは,主治医にご相談下さい。
- 他院に通院中の方で,ご希望の方も,主治医の先生にご相談下さい。これまでの経過や治療内容を知ることが必要となりますので,できれば,主治医の先生の紹介状をいただけると幸いです。当院でリハビリテーションを行った後は,また,主治医の先生に当院での経過をご報告しますので,今後の診療に役立てていただけると思います。
- ご相談は,すべての呼吸器外来で可能ですが,「呼吸不全外来・在宅酸素外来」においでいただくと好都合です。
慢性呼吸不全リハビリテーションで用いる教材あれこれ
当院で患者さん指導用に作成したものです.呼吸器の構造とはたらきや各種疾患の説明,治療薬の説明,検査の説明などをみることができます。
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